今年はブログを毎月更新していこうと決めたのですが、
記事が多くなってくると初心者の方が情報過多で迷子になりそうだなと思い、
ここで一つ、これから独学で金継ぎを始めたい方に向けて、必要最低限の知識だけを紹介するような記事を書いてみたいと思います。
金継ぎには2種類ある
かなり大雑把にいうと、世間で「金継ぎ」と呼ばれているものは次の2種類に分けることができます。
①漆を使って直す金継ぎ(伝統的な金継ぎ)
②漆を使わずに直す金継ぎ(簡易金継ぎ)
そして、今回の記事では①の金継ぎを始めてみたいという方に向けた記事になります。
金継ぎの分類についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
https://chimahaga.com/ja/blogs/journal/there-are-various-types-of-kintsugi
漆とは
そもそも漆で直すとはどういうことなのか、漆とは何者なのか。
簡単に言えば、ウルシという木から採取される「樹液」のことです。
「漆」というときは、木のことではなく、樹液のことを指します。
採取後の漆は液体ですが、固まると非常に堅牢な樹脂となるため、この性質を利用して漆器をはじめとした工芸品がこれまで多く作られてきました。
金継ぎでもこの性質を利用して器を接着したり、欠けを埋めたりします。
漆はかぶれる
漆を扱う上で、初心者の方が特に気をつけるべき点の1つに、漆はかぶれやすいということがあります。
液体状態の漆が肌に触れるとかぶれてしまい、数日間痒みが続く場合があるので取り扱いには注意が必要です。
作業中は耐水性の手袋を装着するなどして対策すれば、多くの場合問題ありませんが、肌の弱い方などは微量に気化する漆でかぶれてしまうケースもあるので、不安な方は注意した方がいいかもしれません。(これまで教室でも1名だけ手袋をしていたのにひどくかぶれてしまった方がいました)
とはいえ、炎症が出ても時間が経てば跡が残ることなく綺麗に消えてくれるので、その点の心配は要りません。
また、かぶれるのは硬化前の漆に触れた場合のみで、固まった後の漆は素手で触っても問題ありません。
漆についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
https://chimahaga.com/ja/blogs/journal/what-is-urushi
完成まで1ヶ月以上かかることも
漆を使った金継ぎは完成まで時間がかかります。
早いと2週間ほどで完成することもありますが、多くの場合1ヶ月前後はかかります。
なぜかというと、漆が固まるのに時間がかかるからです。
金継ぎの工程はおよそ5つに分けられますが、各工程で漆を使います。
そして、その漆が固まって次の作業ができるようになるまで数日から1週間待つ必要があるのです。
各工程の作業は1〜2時間程度なので、実作業時間はそこまで多くありませんが、待ち時間がとにかく長いということですね。
師を一人決める
これが今回一番言いたかったことです!
独学となると、様々な情報に触れることになると思いますが、実際に修理を進める際は、信頼できそうな人を一人決めて、その人のやり方に従うようにしてください。
金継ぎは人によってやり方、使う材料が細かく異なりますが、全体を通して合理的に修理できるよう最適化されています。
いろんな人の手順や材料を勝手に組み合わせて自分だけの手順を作ると、辻褄が合わなくなってしまいます。
特に気をつけたいのが、金継ぎの手順が載っている本を購入し、掲載されている材料を一つ一つ揃えるのが面倒だから、道具類は市販のキットのみを買う、というケースです。
多くの場合、本で紹介されている材料とキットの内容品は一致しません。
市販のキットを使うのであれば、そのキットの手順書に従って直しましょう。(これが一番楽だと思います)
本で紹介されている手順に従うなら、本に掲載されている道具類を一つ一つ購入しましょう。(本格的な趣味にしたいならこっちがおすすめ)
金継ぎの材料を購入できる場所
とはいえ、漆などの専門的な材料をどこで購入すればいいのかという問題がありますので、この記事の締めとして、専門店をいくつか紹介したいと思います。(オンラインで販売があるものに限っています)
佐藤喜代松商店(https://urusi.co.jp/sales)
個人的にいつもお世話になっている京都の漆屋さんです。
記事を書いている時点ではオンラインストアはまだ完成していないようですが、お問い合わせフォームから欲しいものをお願いすれば一般の方でも材料を購入できます。
・鹿田喜造漆店(https://www.shikataurushi.com/)
・堤淺吉漆店(https://www.kourin-urushi.com/)
こちらもオンラインで販売を行なっている漆専門店さんです。
オンラインストア形式なので購入しやすいかもしれないです。
一応、うちのオンラインストアでも材料の販売をしていますが、2025年3月時点では、私の紹介している手順で使うものしか販売していないので、少し足りないかもしれないです…
もう少し商品を充実させられるように頑張ります。
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