金継ぎ

【金継ぎ】金粉の種類と主な違いについて

金継ぎ

今回は金継ぎで使われる「金粉」の種類について解説していきます。

一口に「金粉」と言っても、種類によって見栄えも作業工程も大きく変わってきます。
その上、金継ぎは人によって手順が様々で、使用する金粉も様々なので、初学者の方にとって混乱が生まれやすいポイントの1つになってくるかと思います。

ということで、今回はこの「金粉」についてのお話です。

金粉の種類

まず最初に、一般的な金粉の種類を羅列しておきます。

  • 丸粉
  • 消粉(泥粉)
  • 平極粉(平粉、延粉)
  • 平目粉
  • 梨地粉

言葉で説明する前に、一旦それぞれどんな形なのかを見ていただければイメージしやすいかと思います。

ちなみに、この図は金粉を横から見たときのイメージです。
上から見た図ではないので、こんな細長い形をしているわけではありません。(上から見たときの形は小判型のものが多いです)

金継ぎでよく使われるのは「丸粉」と「消粉」なので、その他の種類についてはふーんくらいで大丈夫です。
後になって混乱を招かぬよう、念のため今回は網羅的に説明しておきます。

種類が色々あって名前も覚えづらくて嫌な感じですが、押さえるべきポイントは「粒の大きさ」です。
まずはここに着目しながら、ぞれぞれ順番に解説していきますね。

丸粉

地金(純度99.99%)をヤスリでおろしてできた粉(鑢粉やすりふん)をさらに細かくしながら丸みをつけたものが「丸粉」です。

「丸粉」は文字通り丸みを帯びた形をしており、その直径の大きさに応じて1号、2号……15号と分類されます。
丸粉1号が5μmほどであるのに対して、丸粉15号ともなると90μmほどになります。

惑星の大きさの比較みたいになりましたね

丸粉の純度

丸粉は「焼丸」という呼ばれ方をすることもあります。

「焼」というのは、金山から産出した「自然金」を、「純金の純度にまで」高めるためにおこなわれていた「焼金」という作業から来ています。

つまり、焼丸というのは「純度の高い」「丸粉」という意味です。

ということで、「丸粉」は基本的に、金の純度が99.99%ほどの金粉と捉えて差し支えありません。

消粉(泥粉)

「消粉」は丸粉とは製造方法が異なり、金箔を細かく砕いて作られた金粉です。

金箔は1gの金を、開いた新聞紙1枚ほどの面積まで叩いて薄くすることで有名ですが、「消粉」はこうして出来た金箔をさらに微粉末状にしたもので、金粉の中では最も細かいものになります。

ただ、「消粉」には「丸粉」のような大きさのバリエーションはなく、一般的に厚さ0.3μm程度、幅3μm程度だと言われています。

消粉の純度

大きさのバリエーションがない代わり、「消粉」は「金の含有率」によって1〜4号などに分類分けされます。

ここがややこしいポイントですね。

同じ「号」という単位でも、金粉の種類によって意味合いが変わってきます。
丸粉は「大きさ」によって号数が決まっており、消粉は「金の含有率」によって号数が決まっています。

では、金の含有率が変わるとどんな影響があるのか。
主には金粉の色味が変わってきます。

それぞれ表にまとめてみましたので、こちらをご覧ください。

含有率色味
五毛色金:98.91
銀:0.49
銅:0.59
鮮やかな金色
消粉一号(正一歩)金:97.66
銀:1.35
銅:0.97
消粉二号金:96.72
銀:2.60
銅:0.67
消粉三号金:95.79
銀:3.53
銅:0.67
消粉四号金:94.43
銀:4.90
銅:0.66
白っぽい金色

「鮮やかな」と表現しましたが、人によっては「赤みがかった」という言い方をされる場合もあります。
逆に「白っぽい」は「青みがかった」と表現する場合もあります。

中塚金属箔粉工業さんのHPにわかりやすい比較写真がありますので、ぜひ併せてご覧ください。

金継ぎでは3号以上のものを使っているケースが多い気がします。

ちなみに「泥粉」と呼ばれる金粉もありますが、これも「消粉」と同じ製造方法で作られており、「消粉」の別名と捉えて差し支えありません。

平極粉(平粉、延粉)

鑢粉を5〜6μm程度にまで砕いた微細な粉末です。
細かくする工程で金粉がりんぺん状に薄くなるので、形としては「消粉」に似ています。
丸粉、消粉ほどではありませんが、これも金継ぎでよく使われます。

平目粉

丸粉を潰して小判型にしたもので、約60μm〜3000μm(=3mm)程の物までを13段階にふるい分けられます。

丸粉と比較すると直径も大きく、最初から平滑な金属面を持っているので、キラキラとした仕上りになります。

梨地粉

平目粉をさらに薄く延ばしたものですが、材料は鑢粉をそのまま使用するので、周囲がギザギザになっています。

厚さは2〜3μm程で、平目粉ほど艶はありません。
直径により約60μm〜700μm(=0.7mm)のものを10段階にふるい分けます。

金継ぎにおける違い

ここまで、ざっと5種類の金粉の違いについてみてきました。
ここからは、「じゃあ金継ぎする時に金粉が違うとどう変わるのよ」という部分についてお話ししていこうと思います。

結論から言うと、大きくは「見栄え」と「作業手順」が変わってきます。
先ほどは5種類紹介しましたが、金継ぎでは「丸粉」と「消粉」がよく使われるので、ここからはこの2種類に焦点を当てて解説していきたいと思います。

具体的には以下のような違いがあるので、こちらを軽く頭に入れた状態で次からの解説を読み進めていただければと思います。

見栄え手順
丸粉光沢感が強い金粉を蒔いた後、研ぎ出しの工程が必要
消粉光沢が弱い研ぎ出しの工程が不要

見栄えの違い

まず一番わかりやすい部分として、見栄えの違いがあります。

「丸粉」は光沢感の強い仕上がりとなります。
写真では伝えづらいのですが、キラキラとした金属的な光沢感といったところです。

一方で、「消粉」は光沢感が弱く、マットな仕上がりとなります。
これも写真では伝えづらいですが、キラキラとした光沢というよりも、柔らかい光沢という印象に仕上がります。

作業手順の違い

もう一つ大きな違いとして、金粉を蒔いた後に、「研ぎ出し」の工程が必要になるかどうかです。

「研ぎ出し」というのは、磨き粉などを使って金粉の表面を削る作業のことで、「丸粉」を使って仕上げる際に必要になってきます。
そのため、「消粉」に比べて「丸粉」仕上げの金継ぎはやや難易度が上がります。

例えば、次の画像は丸粉を継ぎ目に蒔き、研ぎ出しをしている途中のものです。
左側は「研ぎ出し」をしていない部分ですが、なんだか土っぽい見た目をしていますよね。

一方で右側は少し磨いて「研ぎ出し」をした箇所です。
左側と比較して土っぽさがなくなり、光沢がよく出ているのがわかるかと思います。

そもそも光沢とは、光が「滑らかな面」に反射することで生まれます。

例えば、丸粉を蒔いただけだと、以下の図のように「面」ができておらず、光が拡散してしまい、「光沢」が出ません。

表面を磨く「研ぎ出し」を行うことで、「面」が生まれ、鏡面反射による光沢感が生まれるのです。

具体的な作業手順内容まで踏み込むと、これまた記事が一本かけてしまうほど内容の濃い話になってしまうので、それはまた別の機会にお話ししますね。

金粉はどこで買えるのか

さて、ここまで金粉のあれこれをお話ししましたが、最後に金粉が購入できるお店を紹介しておこうと思います。

金粉は金相場によって値段が左右されるため、基本的には時価で販売されています。
いくつか購入先の選択肢を持っておけば、比較検討がしやすくなるかと思うので、ここでは「丸粉」と「消粉」を販売しているお店をいくつかご紹介します。

丸粉

丸粉が購入できる場所は、「浅野商店」と「吉井商店」のほぼ2択になります。
どちらも金銀箔粉のメーカーで、地金から丸粉を製造するところから手掛けられています。

注意点としては、浅野商店では1g、吉井商店では2gが最低ロットになるので、初期投資額が嵩みます…(だいたい1gで1万円以上はします)

他の場所でも丸粉が販売されている場合もありますが、基本的にはどちらかのメーカーが作ったものになりますので、直接メーカーから購入した方が安くつきます。

ちなみに、浅野商店の金粉を「東京粉」、吉井商店の金粉を「金沢粉」と呼ぶこともあります。

私は両方利用していますが、「金沢粉」の方が硬くさらさらした粉感で少し白っぽい色味をしています。
一方で「東京粉」は柔らかい粉感で色味は金沢粉より鮮やかな黄色に見えます。

最初は金沢粉の方が銀の含有量が多めなのかと思い、吉井商店に問い合わせてみたりもしましたが、地金をそのまま加工しているので成分調整はしていないとのことでした。

単純に加工技術の差によるものなのか私だけでは判然としませんが、そのような違いがあるのだということだけ一旦ここではお伝えしておきます。

消粉

「消粉」はもう少し様々な場所で購入することができます。
先ほどの2社の他にもいくつかご紹介します。

ちなみに、通常だとあまり小さい単位で売っていない金粉ですが、最近0.1g単位で金粉を販売しているお店を楽天で見つけたのでついでに紹介しておきます。

Amazonにもあるにはありますが、最も手頃なもので0.3gで¥5,000強とやや割高な印象です。

一々見積もりをもらって発注するのが面倒という方や、明日にでも届いて欲しいという場合であれば楽天やAmazonで購入するのも一つかと思います。(ポイントも付きますしね)

まとめ

ということで、簡単に今回の内容を表に整理しておきますね。

粒度含有率色味金継ぎ手順
丸粉(東京粉)大きい金:99.99鮮やかな金色磨く必要あり
丸粉(金沢粉)大きい金:99.99少し白っぽい金色磨く必要あり
五毛色細かい金:98.91
銀:0.49
銅:0.59
鮮やかな金色磨く必要なし
消粉一号(正一歩)細かい金:97.66
銀:1.35
銅:0.97
磨く必要なし
消粉二号細かい金:96.72
銀:2.60
銅:0.67
磨く必要なし
消粉三号細かい金:95.79
銀:3.53
銅:0.67
磨く必要なし
消粉四号細かい金:94.43
銀:4.90
銅:0.66
白っぽい金色磨く必要なし

本当は色々買って自分で試してみるのが一番ではありますが、金粉は高価なのでなかなかそうもいきませんよね…(私もそうです)
ということで、ぜひこの記事を参考にして自分の目的にあった金粉を選んでいただければと思います。

さて、これで本編は終了となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
今年はもうちょっとHPの更新を頑張ろうと思います。

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