金継ぎ

金継ぎ依頼・教室選びで注意すべき4つのこと

金継ぎ

こんにちは、ちまはがです。

今回はタイトルの通り、金継ぎ教室や金継ぎの依頼先を選ぶ際に注意すべき点について解説したいと思います。

今でこそ私も人様の器を金継ぎするようになって多少は良し悪しもわかるようになりましたが、専門的なことは何もわからないような方だと

「結局どの金継ぎ師を選んだらいいのかわからない…」

と、なってしまうかと思い、最低限ここだけ確認できたら自分に合った金継ぎ師さんを選びやすくなるだろうというポイントを4つ紹介しようと思います。

技術力

まずは、当然のようで意外と判断が難しいのが技術力についてです。

「金継ぎ師」には資格がなく、誰でも名乗ることができるため、独学で数日勉強しただけの人が金継ぎ師を名乗って金継ぎ教室を開いたとしても何の問題もありません。(実際に過去そのような方がいたとお師匠から聞いたことがあります)

そのような背景もあり、後で期待外れだったと後悔しないためにも、金継ぎ師の技術力を事前に確かめておくことが大切になってきます。

具体的には次のようなことを確認するのが良いかと思います。

  • 作例写真を拡大して仕上がりの質を見る
  • 過去の実績(経験)を確認する

作例写真を拡大して仕上がりの質を見る

写真については、さらっと書きましたが「拡大して」という部分がコツです。

例えば、これは私が初めて独学で金継ぎをした器の写真です。

引きで見ると初めてにしてはそこそこ上手くできたなあ、と思ったりもしますが、

拡大してみると…

汚いですね…
継ぎ目がガタガタで凹凸が見えますし、金粉が上手く乗ってなくて下地の赤い漆が見えている部分もあります。
(ちなみに凹凸があると使っているうちに角の金粉が剥げてきます)

また、継ぎ目の線を細く仕上げるのも一朝一夕にはいかないので、技術が伴っていない場合はこのように「太く」て「ガタついた」継ぎ目になりがちです。

このように、ぱっと見は綺麗でも、継ぎ目の仕上げが雑という場合があるので、ぜひ「拡大」して見てみてください。

ただ、このままだと私の腕前に少し疑問が残ってしまいそうなので、最近お直しした醤油差しの写真も掲載させてください。

手前味噌ですが、拡大してみても継ぎ目が滑らかでガタついているようなことはありません。

過去の実績(経験)を確認する

ここで言う、過去の実績とは「金継ぎ師」としてどの程度の経験があるか、という意味です。

この点はあまり説明する必要もないかと思いますが、経歴や過去にどのくらいの数の器を直してきたかを、念のため確認しておくのが吉です。

一つだけ注意点をあげるのであれば、金継ぎ師としての「資格」を持っているような書き方をしていても鵜呑みにしすぎない方が良いかなと思います。

先にも書きましたが、金継ぎ師には公式な資格などはありません。

ただ、カルチャースクールや一般の金継ぎ教室などで、独自にお免状などを出している場合があります。

もちろん、最低限の技術があることを証明するものになりますが、その「最低限」は教室によっても違うので、あくまで参考程度に留めておくことをオススメします。

例えば「医者」は学術的に知識が体系化されており、医師として働く際に最低限必要なスキルが明確になっているので「医師免許」があるのです。

しかし、金継ぎは芸術大学などで技法が体系化されることもなく(その他の漆芸はされていますが)個人継承で続いてきた伝統工芸になるので、経験だけが腕前を確実に裏付けるものになります。(経験を積んでいても作品の質が低ければ意味ありませんが…)

金継ぎの種類

金継ぎには大きく分けて2つの種類があります。

  1. 伝統的な手法による金継ぎ
  2. 伝統的な手法の一部を簡略化した金継ぎ

これによって何が変わるかというと、主に「完成までの時間」「費用」「安全性」が変わってきます。

特に②の方法は、かなり色々な手法が巷に溢れかえっているので、使っている材料や仕上がり方などを事前に確認しておくことをオススメします。

安全性のはなし

また、金継ぎ師の中には「簡易金継ぎ」は安全性に問題があるから良くない!というような書き方をされている場合もありますが、実際そうとも言い切れません。

アロンアルファの中にも食品衛生法に適合している商品はありますし、一方で伝統的な手法を使っているから安全と謳っている金継ぎでも漆の溶剤に「テレピン油」のように消防法で危険物とされている溶剤を使っている場合があったりします。
(テレピン油は揮発するから影響ないという反論が返ってきそうですが、完全に揮発して絶対に器に成分が残留しないと言い切れない限りは、簡易金継ぎは安全性に問題がある、という議論と同じ土俵です)

じゃあどうすればいいんだ、と言われると、そこはどうしても金継ぎ師の方の知識量に依存しますね…
特に「簡易金継ぎ」の場合は、安全性についてどの程度具体性を持った説明がなされているかを気にした方が良いかと思います。(メーカーからの回答など、1次情報をきちんと掴んでいるかが重要です)

と、前置きが長くなってしまいましたが、それぞれどんな特徴があるのか簡単に説明しますね。

伝統的な金継ぎ

こちらは最も伝統的な手法で、天然の漆を主に使用する方法です。

メリット
  • 食器などでも人体への悪影響を気にせず使える
  • 伝統的な日本工芸に触れることができる
デメリット
  • 時間がかかる(1〜2ヶ月以上)
  • 体質によっては漆が肌に付着してかぶれる場合がある
  • 金粉や漆など材料を揃えづらい

簡易金継ぎ

こちらは文字通り、①の手法の一部が簡略化された金継ぎです。
例えば、漆の代わりにボンドなどで接着したり、金粉も純金ではなく真鍮粉などで代用することで簡略化します。

メリット
  • 材料を手に入れやすい
  • 伝統的な手法に比べて格段に作業時間・費用が減る(1日で完成させる方法もあります)
デメリット
  • 接着剤などによっては人体への悪影響が懸念されるものがある。

使用される金粉の種類

金継ぎといっても、金粉だけでなく銀粉や真鍮粉を使う場合もあり、色々な種類があります。
また金粉と謳っているけど実は純金ではなかった、というケースもあるのでよく確認しましょう。

実際、有名な金継ぎ教室さんでも、注意書きが羅列されている中に「錫粉を使用します(金粉を希望の場合は別料金)」と書かれていることがあったので気をつけて見ておくようにしましょう。

金粉

金粉にも、実はいろいろな種類があります。

この記事ではあまり詳しくは紹介しませんが、よく使われるのが「丸粉」と「消粉」になります。

何が違うのかというと、金粉1粒1粒の目の細かさが違います。

「丸粉」の方が荒く、「消粉」の方がかなり細かい粒になります。

ここで注意すべきは、「消粉」は細かいが故に「丸粉」に比べて剥がれやすいということです。

食器にように毎日洗うものは、「消粉」で仕上げると使っているうちに金粉が剥がれてしまうので、どちらの金粉を使う金継ぎなのか事前に確認しておきましょう。(あくまで長い目で見た話なので、二日や三日で剥がれてしまうようなことはありません)

あともう一つ、「金粉」と表記されていても「純金」を使っていない場合があるのでご注意ください。

例えば「金粉(真鍮粉)」「金粉(非金属)」などといった表記がされていないか確認しましょう。

「真鍮」については後で詳しく解説しますが、銅と亜鉛の合金のことで、金とは全く別の金属になります。
また、以下のような非金属の金粉は、純金の金粉以上に光沢が強く不自然に感じられる場合もあります。

とはいえ、そのような仕上がりをご希望であれば全く問題ありませんが、安価な金継ぎ体験などではよく使われるので、特に注意した方が良いかなと思います。

銀粉

銀粉は金粉で仕上げるよりも安価に仕上げられるため、依頼する際もやや価格が下がる傾向にあります。
金粉とはまた違った表情で素敵ですね。

ちなみに、銀は空気中の微量な硫化水素と反応して硫化銀となり、やや色がくすんでいきます。
経年でいぶし銀のように変化する様を楽しめるのも魅力の一つです。

銀粉も「銀粉(アルミ粉)」や「銀粉(錫粉)」など、と違う素材で代替される場合があるので、金粉と同様にしっかりと純銀かどうか確認するようにしましょう。

真鍮粉

先ほども説明した通り、銅と亜鉛の合金を「真鍮」と呼んでいます。
銅の成分が多いため、10円玉のように次第に錆びていきます。(それも経年変化として楽しめるものですけどね!)

ですが、真鍮そのものは安価であり、黄金色で見た目が金に似ているため、金継ぎ体験や初心者の金継ぎなどでよく使われます。
金継ぎ師が器の修理として受け付ける際に真鍮を使うケースはあまり見受けられませんが…。

ちなみに、勘違いされやすいですが、真鍮はカトラリーなどでも使われる素材であり人体に有毒な素材ではありません。
昔は銅のサビである「緑青」が有害であると考えられていたため、銅を含む真鍮がサビてしまった場合も有害であるとみなされていました。
が、厚生労働省が1984年に「緑青は無害である」と正式に発表している為、金継ぎで食器に使っても全く問題ありません。

たまに「亜鉛」という文字から「鉛」を想像されて有害だと思ってしまう方もいらっしゃいますが、「亜鉛」と「鉛」は全く別の物質です。原子が違います。

金箔

あまりメジャーではありませんが、金箔を使って金継ぎをするケースもあります。

金粉との違いは、光沢と線の太さです。
どうしても面で貼っていくことになるので、線が太くないと金箔を貼るのが難しくなります。
また、面であるということはより光を反射するということなので、光沢も強くなります。

ガラスなどは対象外の場合も

そもそも、物によっては金継ぎに向いていない場合があります。

  • 土鍋のような直接火にかけるもの
  • その他、高温の状態となる可能性のある器など
  • ガラス製のもの

漆の特性上、およそ90度以上となると変形などを起こす可能性があり、接着が剥がれてしまったりすることがあります。

また、ガラスは漆との相性が悪く、しっかりと接着させることが難しくなります。
そのため、ガラスの金継ぎを受け付けていない金継ぎ師さんも多くいらっしゃいますので、事前に確認しておくようにしましょう。

まとめ:大切な器を任せられる金継ぎ師さんを選ぼう

これまでの話をまとめるとこんな感じです。

まとめ
  • 金継ぎ師さんの技術力を確かめる
  • 伝統的な手法なのか、簡易的な手法なのかを確認する
  • 使っている金粉の種類を確認する
  • そもそも金継ぎできる器かどうかを確認する

他にも細かい部分で確認したい箇所はあるのですが、とりあえずはざっとこれだけ確認できれば、自分にあった金継ぎ師さんを選べるかと思います!

ちなみに、本物の金粉を使ってないから良くないとか、伝統的な手法じゃないから悪いとか、そういったことを伝えるつもりは一切ありません。

純金を使うとそれだけ費用もかさみますし、初心者の方がお試しで金継ぎをする分には真鍮を使ったりと、そういった選択肢があることは「金継ぎ」に対する間口が広がる素敵なことだと思っています。

ただ、初心者の方が誤解しそうな説明だなあと個人的に感じるものが散見されたので、何か手引きになるようなページを作れたらと思い、この記事を書いた次第です。

これから金継ぎを始めたい、もしくは金継ぎを依頼して器を直したいという方にとって、少しでも参考になることがあれば幸いです。

自分で金継ぎセットを購入して金継ぎを始めたい!という方は、次の記事も参考にしてみてください。


それでは。

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